発汗を抑える治療について

考える

人間の体には、汗をかくことによって体温を調節をする機能が備わっています。病気で高熱が出たり、激しい運動をした後で体温が高くなったりするのは、生きていれば当然の現象です。ただし、その際に上手く体温を下げることができないと大変なことになってしまいます。なぜかというと、人間の体を構成しているタンパク質が熱で変性してしまうためです。外部から体を冷やすという方法ももちろん有効ですが、人間の体には汗の気化熱によって体温を下げるという自衛機能が備わっています。ですので、汗をかくこと自体は悪いことでも何でもありません。しかし、ごくまれに、何の理由もなく大量の汗をかいてしまう人がいます。そのような症状を多汗症と呼ぶのですが、日常生活を送る上で何かと支障が出るケースが多いため、悩んでしまう人が少なくありません。多汗症の人は、手のひらや足の裏、脇の下、顔など、特定の部位にのみ大量の汗をかくケースが多いです。誰も汗をかいていない状況の中で、たった1人だけ滴り落ちるほど大量の汗をかいていたりすれば、周囲の人の注目の的になってしまいます。他人に見られて恥ずかしいと感じる気持ちが強ければ強いほど、それがストレスになって余計に発汗量が多くなるという悪循環に陥ってしまいます。でも、医療機関で適切な治療を受ければ、多汗症を治すことができます。手のひらや足の裏、顔などの部位はメスを用いる外科手術には適していませんが、ボトックス注射を打つという方法で多汗症の症状を抑えることが可能です。ボトックス注射であれば、目立つ傷跡が残ってしまう心配がありませんし、術後の生活にもほとんど支障が出ません。そのため、ボトックス注射を用いる多汗症治療が高い人気を集めています。

多汗症を治す方法には様々な種類のものがあります。とにかく汗をかかないようにする必要があるため、汗腺をなくしてしまうという方法が一番確実です。実際に、脇の下にかく大量の汗を止めたいと希望している患者には、直視下剪除法による外科手術が行われるケースが多くなっています。これは、脇の下の皮膚に3〜4cm程度の切開口を作り、そこから皮膚を裏返して汗腺を1つずつ目で確認しながら取り除いていく方法です。昔は汗腺ごと皮膚を大きく切除してしまう手術が行われるケースが多かったのですが、汗が止まる代わりに脇の下に目立つ大きな傷跡が残ってしまうという難点がありました。汗とは別のコンプレックスで悩まされるようになってしまうため、現在そのような方法の手術を行っている医療機関はほぼ皆無となっています。でも、直視下剪除法であれば、傷跡がそれほど目立たないので、安心して手術を受けることができます。ただし、顔や手のひら、足の裏などの場合は、直視下剪除法による手術でも何かと問題が発生します。顔に3〜4cm程度の傷跡がいくつも残ってしまえば、それはかなり目立ちます。また、足の裏にこの手術を施せば、傷が回復するまでの間は歩くことができません。一方、手のひらの手術を受けた場合も、長い間両手を使うことができなくなりますので、とても困ってしまいます。でも、先程紹介したボトックス注射を用いる方法であれば、それほど悩まずに多汗症治療を受けることができます。誰だって、精神的にも肉体的にもできるだけ負担の少ない方法で治療を受けたいと希望していますので、今後はボトックス注射を利用する人がさらに増加するだろうと予想されています。